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2006年03月26日

資本制と属国

 この文章は大学の講義で見たドキュメンタリー番組の感想です。
タイにあるプーケット島が資本制によってリゾート地化していることから、
資本制の中の弱者に対する問題と恩恵について述べています。
 
 資本制とは、先進国が戦争に代わって間接的に発展途上国を属国にするための制度だと言えます。なぜなら、タイのプーケット島は先進国のお金によってリゾート地として属国化されています。
 リゾート地化による属国には様々な被害が存在します。たとえば、観光客によるゴミのポイ捨てなどで環境が汚染されます。生産物や資源をお金で買い取られてしまいますし、仕事も観光客相手のものばかりになってしまいます。
 他にも文化遺産を壊してリゾート地を作るなどの伝統破壊も行われています。プーケット島では砂浜のほとんどがプライベートビーチになり、お金を払わないと立ち入ることができなくなっています。

 資本制はさらに、客と生産者との間柄もおかしくします。プーケット島では観光客にとって島民はサービスをする人でしかありません。そして島民にとっても観光客はお金を運んでくる人でしかありません。これが正常な人と人との間柄でしょうか?これでは機械を相手しているのとあまり変わらないのではないでしょうか。正常な間柄とは相手を個人として認知し、敬意を払って接するものです。

 リゾート関係ばかりが資本制による被害ではありません。タイでは昔から種を自分達で掛け合わせて作った種で農業してきました。しかし、その種を使う権利を外国企業が主張することで法的に使えなくしてしまったのです。そのため、自由に農業が行えなくなりました。そして企業は作った種を農民に高値で売りつけて、タイの農業を支配しているのです。

 このように、資本制は住民の生活を根源から変え、土地を先進国の資産にしてしまいます。これを先進国が発展途上国を属国にしていると呼んでも過言ではないでしょう。

 ではなぜ、お金がプーケット島を支配してしまったのでしょうか。島民は別にリゾート地として経営していかなくても、昔からしっかりと生活していたそうです。
 しかし、そこに自分達より技術の高い国が介入してくると話は変わります。外国からの贅沢品が島民の大半を虜にし、統治者は国を防衛するために軍備を整えるためのお金が必要になります。そして、いつのまにか国全体がお金無くしては維持できない環境に追い込まれていたのです。誰にとってもお金が必要になってしまう制度、これが資本制の一番重要な性質です。

 だが、ここで大きく見方を変えてみましょう。昔、先進国は戦争によって直接的に発展途上国を属国にしてきました。この代償には多くの人々の命が奪われました。しかし、資本制では直接的に人が死ぬことは戦争に比べてかなり少なくなりました。戦争で属国にしても、発展途上国の国民の生活はどっちにしろ壊されてしまうでしょうし、結果としては資本制よりひどいことになるでしょう。そういう意味では戦争で属国にするより、資本制は圧倒的に素晴らしい制度であると言えます。日本の平和も資本制に支えられてるのです。

 どう足掻いても人間は他人を食いつぶそうとします。あなたがそうでなくても、あなた以外の人はわかりません。これを止めることができないのなら、妥協案としての資本制は悪くないかもしれません。ただ、資本制による属国化は直接的な暴力ではないため、問題を見抜きにくいところが厄介ですが。

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